パンドラの塔 君のもとへ帰るまで
中央値: 80 Amazon点数: 4.3
スコアーボード
標準偏差 10.57 難易度 2.26 mk2レビュー数 23ユーザーレビュー
(デフォルトは中央値近順)オリジナリティ | グラフィックス | 音楽 | 熱中度 | 満足感 | 快適さ | 難易度 |
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4pt | 4pt | 3pt | 3pt | 3pt | 5pt | 1pt |
71pt
GOOD!
・鎖を使ったアクションは若干慣れが必要ですが、慣れると楽しくなってきます。
特に敵との戦闘時、どこを縛るか、どいつを縛るか、引きちぎるのか、はたまた武器で仕留めるのかといった選択を相手と状況に合わせて選ぶ必要があります。そのおかげで戦い方に幅ができ、ある程度マンネリ感を減らしています。
ボスとの戦闘もボス毎に特徴ある攻略法が用意されていて、鎖を使うのが楽しいです。
・グラフィックは一部を除いてキレイです。特にプリレンダムービーは数は少ないですが相当にキレイです。
・快適さの面では、まずロードが殆どなく、あってもごく短いものです。秀逸なのがゲーム画面からプリレンダムービーに切り替わる時で、ロードがまったくないので「あれ?いつの間にか切り替わってる!?」と驚きました。
また、ステージの設計もよく練り込まれていて、道なりに進んでいけばほぼ詰まる事はなく、ちょうど切りのいいところで獣化ゲージが気になる長さになるように配置されています。ショートカットもいい具合に用意されているので、普通にプレイしていれば帰りが間に合わないでゲームオーバーという事はまずないでしょう。
合成も結果と素材両方から選択できたり、中断セーブもあり、プレイ中イライラする要素はありませんでした。
・ヒロインのセレスには、正直最初の内は殆ど魅力を感じませんでした。しかし、ゲームを進め、会話や贈り物を繰り返す内に「絶対にこの娘を助けてやろう」という気持ちにさせられました。また、セレスが肉を食べるシーンは相当作り込まれていて、一見の価値ありです。
・ストーリーや各種設定について、事前に説明されることは説明書含めても殆どなく、ゲーム中手に入る書物や人物との会話で少しづつ明らかになっていきます。プレイする前の印象からすると意外な展開の仕方をするので続きが気になるのもプレイするモチベーションにつながりました。
BAD/REQUEST
・事前説明がないことで世界観に引き込まれるのはGOODであげたとおりですが、エンデとセレスの関係も全く説明がないので、最初の内はだいぶ感情移入しにくく、置いてけぼり感があります。
「なぜエンデはセレスのために危険を冒して塔に挑むのか」、理由自体はよくあるものなのですが、キャラ説明に加えておくだけでも最初の置いてけぼり感はなかったんじゃないかと思います。
・グラフィックはキレイですが、塔内のエンデだけは正直PS1レベルに見えてしまいます(イベントシーン以外)。敵キャラや塔内部はそんな事はないですし、プレイそのものには支障はないのですが、もう少しキレイにできなかったのかと思います。
・全体的にボリュームが不足しています。一応クリア後に追加要素はありますが、達成はそれほど難しくありません。特に詰まる仕掛けも詰まる敵も居ないのでサクサク進む反面、達成感もそれほどではないのも、ボリューム不足を感じる一因だと思います。
COMMENT
コンポーネント接続、リモコン+ヌンチャクプレイ。
・クリア後の豊富なやり込み要素が当たり前になった現在からするとボリューム不足ですが、とりあえず楽しむことはできます。ただ、定価はもう1000円引きでもいいくらいですが。
・ヒロインのグロ要素については、個人的には魅力の一部だと思いますが、やはり受け付けられない方もいるでしょう。Wiiのリメイク版バイオまでプレイしたことはありますが、「ヒロインがグロイ姿になる」というのは結構精神にくるものがあります。最初は置いてけぼり感がある事も含め我慢できる人でないと楽しめないと思います。
・ただ、これからプレイし始める方は、一度はわざとセレスを半獣化させて会話や行動を観察することをオススメします。その後のプレイに対するモチベーションがきっと上がることでしょう。
・アクションも面白いですが、やはり「セレスゲー」なのでセレスに感情移入できるかどうかで評価がかわるでしょう。いろんな面で人を選ぶゲームです。
Amazonレビュー
レビュー者: Amazon カスタマー レビュー日: 2016-07-03この作品は発売当初からずっと気になっていたのですが、Wiiで他に欲しいソフトがなかったため見送り続けていました。しかしいつまで経っても他に欲しいソフトが現れず……とうとうこのソフトをやるためだけにWii Uを購入しました。結論は勿論、思い切って買って良かった!
ちなみに、Wiiリモコンの特性をよく活かした操作方法なだけに、ゲームパッドやクラシックコントローラーでは操作し辛いです。操作できないことはないけど、このゲームの一番の面白さを殺すというマゾプレイにww Wii Uでやるならリモコンとセンサーバーを本体とは別に買わなければいけないので、Wii Uでのプレイを想定している方はご注意ください。
■世界観
ファンタジーに滲む程度のダーク感がとても良いです。説明書のキャラ絵やムービー中に挿入されるイラストなどを見ると、デザイナーさんのセンスの良さがダイレクトに伝わってきます。
私はグロ・スプラッタが全くダメな人種なのですが、この作品のグロさは美しさも孕んでいるので全く怖くないです。画質もWiiクオリティだしね(笑) でも注意喚起しているレビューも沢山あるので、結局人それぞれなのかも。
■シナリオ
他の方もよく言われていますが、ヒロインがとても可愛らしく「この子のために頑張ろう」という気持ちになるので、「妻のために毎日外に出て必死に稼ぎ、でも妻が心配だから急いで帰り、そしてこまめなプレゼントを欠かさない愛妻家の旦那」の気分が男女問わず味わえます(笑)
設定が非常に緻密なのですが、全てが語られることはなく、しかしそれが不快ではなく考察の楽しさを生み出してくれます。Sランクでクリアした後は、是非攻略本やwikiの考察を読んでみてください。
■キャラクター
メインキャラはたったの三人なのですが、全員とても魅力的です。三人だけ(正確には四人だけど)でずっと同じところで暮らしているのに、飽きたり窮屈に感じたりすることはありません。
ヒロインは皆様が言う通りとても可愛いのですが、主人公のエンデも負けてません。無口だし彼だけボイス無しのセリフが間々あるので、恐らく”プレイヤーの器”タイプの主人公として作られたのだと思うのですが、いわゆる無個性主人公とは違って無口さに違和感がありません。無言で顔アップのシーンになると「エンデ今こういうこと考えてるんだろうな~」と自然と想像できて、それが感情移入に繋がります。”プレイヤーが主人公と同じ気持ちになる”のではなく、”主人公がプレイヤーと同じ気持ちでいるように感じられる”というのでしょうか。卵が先か鶏が先かって話になるのですが、後者の方が主人公との一体感が強く、それがプレイしていて心地よかったです。
■グラフィック
SD画質にもかかわらず、一瞬それを忘れて「あっ、ここすげー綺麗!」と感動できるマップが多々あり、細かいところまで作りこまれているのがひしひしと伝わってきます。主人公の装備品やヒロインにあげられるプレゼントなど、別に省いても怒られないし大半の人は気にしないんじゃないかってくらいこまごましたポリゴンまで用意されています。
加えてディティールだけでなく、マップ全体、ゲーム全体の雰囲気がきちんと統一されているのも素晴らしいです。3Dグラフィックでここまで纏まりを持たせるのは、かなり執拗な調整が必要だった筈。今更ながらお疲れさまです。
それだけに、主人公とヒロインの顔が2Dイラストとはやや違うのが残念で仕方ありません。顔の造形は難しいので、普段なら「まあちょっとくらいはね……」となるのですが、マップの完成度が良すぎるあまり、それと比べると及ばない一歩が大きく感じられます。
■アクション
「鎖で戦う」というのが斬新であり、かつ面白い操作感となっています。WiiやDSってハードの機能を活かせてないソフトばかりであまり好きじゃないんですが、この作品はWiiリモコンの性質をとてもうまく利用していると思います。派手にぶんぶん振り回すわけではないのに、Wiiリモコンでないと実現できない操作なんですよね、これが。
私自身は、アクションゲームは中級者といったところでしょうか。そこそこ出来るほうですが、あんまりあれこれアクションがあるとこんがらがってしまいます。なので自分でボタンを割り当てられるゲームなんかだと、使わないアクションは消してしまって、少ないボタンで操作しやすいように変更してしまうようなタイプです。
ですので最初は鎖アクションを覚えるのに苦心しましたが、使える場面になると毎回操作ガイドが出てくるので大丈夫。このガイドがまた絶妙に邪魔にならない。
私は中盤に差し掛かったところで鎖を使いこなせるようになったので、それ以降はむしろちょっと物足りないくらいで、特に第二武器のアクションが少ないことが気になるようになりました。スティックとの組み合わせで武器の振り方が変わるだとか、中盤以降から使えるようになる特殊なコンボや、鎖と第二武器・或いは複数の第二武器を同時に使う合体必殺技みたいなのがあれば良かったな。
あと、鎖でターザンをやる時に、方向転換が上手くいかなかったり、飛びたい方向と逆向きに飛んでしまうことが間々あるのが辛いです。判定どうなっているんだろう……
また、ボスが強すぎるという感想が多いですが、中級者の私には丁度良いくらいでした。各塔には、その塔のボスの倒し方のヒントが落ちているので、難しいと言っている人の中にはそれを拾えていない方もいるかもしれません。余程難しければ攻略サイトを見るのもアリだと思います。謎解き要素がある以上、始終攻略サイトに頼るとつまらなくなってしまいますが、つまずいてイライラするくらいなら頼ってしまうのも手です。
■ダンジョン
私はダンジョンは時間を掛けて隅々まで探索したいタイプなので、最初は引き上げどころを間違えて何度かやばいことになり、制限時間を煩雑に感じていました。が、やばくなること三回目で「どうせまた明日来るんだから、細かい探索は次で良いや」と諦めがつくようになり、それからは危なげなく進められるようになりました。
どの塔も丁度良いタイミングで帰路のショートカットを見付けられる構造になっていますが、これは裏を返すと”まだ少し余裕があっても、ショートカットを見付けたら帰るのがベター”ということです。「向こう側にまだ行っていないからそこだけ確認を……」と欲張ってはいけません。何故なら、「アイテムがあるだけの部屋」というのが殆ど無いからです。「あそこ多分アイテム部屋か行き止まりだから、ちょっと確認だけ!」と行ってしまうと、大概そこが次の道に繋がる仕掛け部屋になっていて、確認だけでは済まなくなってしまいます。
「一つの塔を何日もかけて攻略する」「敵が強いと思ったら一旦クリア済みの塔に戻って回復アイテムと合成素材を溜め込む」という風に、焦らず長い目で見てプレイすれば、アクションが苦手な人でも大丈夫だと思います。セレスのこともあって、早くシナリオを進めたい! と思うのですが、そこはRPGですから。クリア時間はそれなりに掛かるものとして割り切るしかないですね。
しかし、制限時間より面倒なものが一つ……視点移動です。前後左右も容赦なくいきなり切り替えてくるので、慣れたマップでもカメラが切り替わるところは毎回操作しづらいです。致命的とまでは言いませんが、頻繁に起こるので地味に鬱陶しい。しかも、カメラアングルが謎解きのヒントになっている場合もあるので、一概には批判できないのがなんとも;
■音楽
BGMも歌もとても良いです! 数は少ないですが、不思議とあまり気になりません。飽きの来ない良いBGMということですかね。
RPGってシーンごとに逐一BGMが変わるのでとかく曲数が多くて、その分外れ曲も沢山ある(どれもアイデアを振り絞って作った曲だと思うので、こういうことを言うのは非常に申し訳ないんですが;)ものですが、この作品は量より質がスタンスなのかも。全部当たり曲だなあと思います。サントラ、欲しいんだけどなあ……
■その他
ムービーやセレスとの日常会話、塔のグラフィックなど何かと使い回しが多いです。こういうのって気にならない人は全く意に介さないけれど、気になる人はすごく気になりますよね。
塔のグラフィックが似たり寄ったりなのは、世界観とシナリオの謎に関わる部分なのでまあアリとして……ムービーの使い回しはちょっと引くくらい多いですね。多分毎回”律儀に”挟んでるんだと思いますが、ここまで来ると最早「律儀」ではなく「節操がない」(笑)。ワンタッチでスキップ出来るので私はぎりぎり許容範囲内でしたが、もしこれが「イベントシーンをスキップしますか? はい・いいえ」とかって表示されるやつだったらアウトでしたww 紙一重ですw
■総評
アクションの難易度は人それぞれだと思いますが、ゲームオーバーになってもペナルティはなく、直ぐに復活できるチェックポイントも沢山設置されているので、ゲーム自体の難易度はあまり高くないのではないでしょうか。真っ黒な商品パッケージやグロ表現など、パッと見「一見さんお断り」みたいな雰囲気なのに、初心者救済措置が沢山あるのがミスマッチで不思議ですw
文句が一つもないわけではないのですが、かなり少なく抑えられていると思います。ゲームのレビューってよく書くんですが、普段はもっと批判が多くなるので(笑)
何より、ちょっとの文句なんか黙らせてしまうくらいの熱意がこのゲームには込められていると思います。本当に「よく作りこまれている」という言葉がしっくりくる作品です。タグ付けできるなら「もっと評価されるべき」と付けたい……
いつもならちょっと厳しめに☆4にするところなのですが、熱意に負けました。満点を付けさせていただきます!
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GOOD!
【オリジナリティ】……4点
ポスト・ゼルダというほど極端に目新しいシステムがあるわけではないが、一口に言ってしまえば「妻を養うアクションゲーム」。激しいアクションとファンタジー的な冒険との間に挟まる生活感がユニーク。ただひたすら探索に没頭することに歯止めをかけるヒロインの存在が、このゲームをその辺の凡庸なアクションゲームから救いだしている。
【グラフィック】……4点
ソニック・カラーズやドンキーコング・リターンズのような無茶苦茶なものを除けば、wiiハードでは最高レベル。近いところではゼノブレイドだが、ダンジョンを含めた全体的なデザインのレベルは(ちょっとした中学生っぽさはありつつも)ゼノブレイドより遥かに上。ステージは探索し甲斐があり、ボスは強大で、ヒロインは可愛らしく、老婆と老人はユーモラス。主人公とその武器は、恥ずかしい部分と思うこともあるかもしれないが、格好の良さも否定できない。ただし主人公の見た目はパッケージ詐欺、馬面です。
【音楽】……4点
少なくとも悪いと思わせる部分はない。最終局面のヒロインのオペラソングの使い方は秀逸。
【熱中度】……5点
このゲームの素晴らしいところはテンポ。レベルバランスも謎解きの難易度調整もほぼ完璧。アクションも爽快。一つのダンジョンも普通に解けば一時間前後でサクサク進める。なにより「ヒロインを救う」という動機付けが、かつてないほどに強いゲームであるため、プレイヤーのモチベーションが失われることがない。
【快適さ】……5点
他のレビュアーが第二武器の必殺技に無敵時間がないことを稚拙と評していたが、それは誤解だと擁護しておきたい。本作の必殺技は溜め時間(ただし、さほど時間は必要なく、溜めている最中も移動や緊急回避が行える)以外にコストを必要としない強攻撃であるため、無敵時間があると明らかにバランスが崩れる(無敵時間があるなら、逃げ回りながら溜め、必殺技をぶっぱなすだけで全ての敵が倒せてしまう)。また、全ての必殺技はボタンの追加入力で真価を発揮するが「敵の攻撃が当たらないことを期待して、最も威力の高い最後の追加入力まで出し切る or 追加入力あるいは発生中の必殺技をキャンセルして緊急回避する」という選択肢をプレイヤーに提示することで戦闘をスリリングにしている。多くの必殺技の出始めは敵を仰け反らせることが出来ないというのも、注目すべき戦闘バランスの優れているところ。最も強力な溜めレベル4の追加入力を、敵の猛攻を避けながら全て出し切った時の爽快感は、中々のアクションゲーマーでもうなるほどのものだと思う。
また、こちらでは回避行動後のもたつきを確認できなかった。鎖との相性は悪いが、無敵時間も含めて全く問題のない回避だったように思うが……。
戦闘面を除いても、中々のカメラワークや、ショートカットの配置、レスポンス、どれも良い。特に快適だと感じたのは、二周目の開始地点をある程度選択でき、エンディングを見直せる機能があること。必須とは言わないが、全てのマルチエンディングを搭載しているゲームは多少なりとも見習うべき。
【満足度】……4点
最良のエンディングだけを目指すことを考えれば十数時間。全てのエンディングをコンプリートしても二十時間掛からない。クリア後の追加要素もあるが、リプレイ性は高くない。が、アクションゲームとしては全然問題のないレベル。難易度もハードコアからライトユーザーまで幅広く対応出来ていると思う。
BAD/REQUEST
ストーリーがとにかく微妙。このゲームは「ヒロインを救う」ということ、それから「受肉」を中心に据えているので、それを考えれば大成功はしている。ヒロインは魅力的で、肉を長時間与えなかった時の残酷な展開は、「しょせんゲームだ」と思っていても罪悪感を覚えてしまうし、逆に肉をたくさん与えることで生じるヒロインのグロテスクな変化は恐怖を感じる。しかし一つの物語と見た場合のクオリティはとても低い。何かが矛盾しているというわけではないが、たぶん全てのエンディングを見ても、腑に落ちない部分がたくさん出てくるし、とにかく陳腐だと感じるだろう。世界観は決して魅力がないわけではないが、オリジナルの宗教観が存在しているにも関わらず、パンドラの箱というギリシア神話を持ち出した挙句、主人公が唐突に「ヴァルハラ」と呟いたときは本当にウンザリした(しかもオリジナルにせよギリシアにせよ北欧神話にせよ、物語への絡みは結構弱い)。アーカイヴスで世界観を補強できるが、ネタ的なものを除けば幻滅するようなものばかり。ただし、キャラクターの魅力も含め、エンディングまで引っ張る力がないわけではない。全てが終わった後、「なんだかなあ」と思う程度。
ウリの一つと思われる鎖アクションの出来はとてもいい。肉の引き抜きやダメージ性能、謎解きへの利用だけではなく、敵同志を結び付けてダメージを伝えたり、特定の部位に巻きつけて動きを制限したりと利用方法が幅広い。しかし、他のレビュアーも書いているがぶら下がり時の操作性が非常に悪い。結局、最後まで完璧に使いこなすことはできなかった。また二種類の巻き取り(その場で鎖を巻きとれるがゲージの溜まりが弱いcと、崖や壁付近ではスカ扱いになるがゲージが溜まりやすい方向スティック逆入力)の違いを明記してほしかった。僕が見逃しただけかもしれないが……。
二周目では、一週目では特定の(それもシークレット的な)条件でしか手に入らない、ヒロインへのプレゼントアイテムが大量に販売されるようになるが、それは一週目で販売してもよかったのではないかと思うようなものが多いのも不満点。ヒロインとの交流が楽しいゲームなので、通常プレイで手に入るプレゼントアイテムの量と質は大事だと思うのだが(もちろん悪いわけではないが)。
COMMENT
次世代を感じさせるようなゲームがやりたいというのなら他をあたるべきだが、ちょっとばかり、さくっと楽しいゲームがやりたいというなら「パンドラの塔」は手堅いかもしれない。ストーリーは陳腐なネットスラングを使えば「中二病」的でツメが甘いが目的が明確で、一風変わっているにも関わらず堅実なアクションゲームという不思議な体験が出来る。僕の記憶と知識が正しければ、製作元のガンバリオンは漫画やアニメを原作としたゲームを手掛けていた会社で、たぶんこの作品が初のオリジナルだったと思うが、今後、あるいは次作が楽しみになる出来であることは間違いない。