不思議のダンジョン 風来のシレン3 〜からくり屋敷の眠り姫〜 レビュー

不思議のダンジョン 風来のシレン3 〜からくり屋敷の眠り姫〜
発売元 セガオフィシャルサイト
発売日 2008/06/05
価格 7,140(税込)
レーティング B / 12才以上対象(CERO について)
ショップ/リンク 【 Amazonレビューも参考にどうぞ 】
タギングトップ3
タイトル概要 ダンジョンRPG / 1人用
Wi-Fi、ヌンチャク、クラコン 対応


オリジナリティ グラフィックス 音楽 熱中度 満足感 快適さ 難易度
2pt 2pt 2pt 2pt 1pt 1pt 3pt
総合点
32pt

GOOD!

おなじみのシレンシリーズ続編だが、
操作キャラを3人にしてみたり、竜脈を要素として加えてみたりと
ゲームの根幹の部分に手を加えてみようという試みは評価したい。
また、壺の中身が整理可能であるなどごく一部だが、
システム面での改善も見られる。

BAD/REQUEST

まず最初に、私はシレンシリーズにかなり思い入れがあり、
発売前から相当に楽しみにしていたのだということを断っておく。
したがってこれから述べる事柄については多少なりとも
個人的な感情が混じっていることを否定しない。
ただ、その思い入れの部分や、旧作との比較をしないにしても、
以下に述べるような欠点はある種絶対的なものであると考えている。

まず、システムや操作性における著しい退化である。
繰り返し遊ぶことを前提としているのであるから、
こうした点における欠点は直接的に
ゲーム自体の評価に影響してくるものであることは言うまでもない。
そして、本作のシステム・操作性ははっきり言って「酷い」。
まず歩行速度が、圧倒的に遅い。アスカと比べると0.6倍のスピードである。
さらに、余計な演出が目立つ。
たとえば操作キャラを切り替えるときのフェード。
システムメニューを表示するときのワイプ。
レベルアップ時には効果音がなりやむまで歩行不可。
どれもこれもが重なり合って、ゲームテンポは悲惨なものである。
これを「1000回遊ぶ」気には、到底なれない。

さらにこれは最も酷いと思われる点であるが、
メッセージが流れる速度がやたら遅く、そのため
メッセージと画面内で起こっている出来事が全く同期できていないのである。
いつ、どの攻撃が何ポイントのダメージを与えて、何が起こったのか、非常に分かりづらい。
また国士虚無僧が特殊能力を発動した時など、1分近くも延々とメッセージが流れ続ける。
これは致命的、というか、あまりにお粗末である。

ちなみにアスカではボタンを押した瞬間に
メッセージスクロールを(早めに)開始し、
画面で起こっている出来事とその瞬間に表示されているメッセージが
出来る限り対応するように配慮されていた。

そのほか、システムの退化は多岐に及ぶ。
iダッシュの不採用。壺にまとめてものを入れたときの冗長なメッセージ。
床置き合成が出来ない上に、容量も妙に少ない倉庫システム。
後述するが、これらはひとえに開発チームの怠慢と確執の産物であろう。

また本作で新たに導入された仲間システムと竜脈であるが、
これも成功しているとは言えない。
特に仲間システムは、明らかに練り込み不足である。
ただ単純に操作キャラが3倍に増えたために、装備も3人分必要になり、もちろん手間も3倍。
しかもそのうち1人が死んだらアウト。
AIは頭が悪く、状態異常によってAIが暴走を引き起こすこともある
(しかもそのAIの頭の悪さを「狙って残した」かのような感じがあるのがさらにいただけない)
また大抵の敵は3人で取り囲めばほとんど確実に1ターンで倒せてしまうので、
敵がどんな個性的な能力を持っていようがおかまいなしである。
実際、本編ではほとんど敵の能力など気にする必要がなかった。

また竜脈については、まず基本的なところから言えば、説明が足りなすぎる。
「お供えをすると何か起こります」程度の説明しかないのだが、
実際にやってみると修正値がちょこっと増えたりするだけ。
実は適切な手順を踏むことによって修正値を大幅に増やしたり、
草を大量に複製することが出来るのだが、それを理解していなければほとんど役立たずである。
またその修正値大幅増加・草大量複製は主にクリア後に実践可能になるが、
これによってプレイヤーの能力値はあっという間にインフレを起こし、
クリア後ダンジョンのうちレベル継続のものはほとんど意味を成さなくなる。
本当にこういうお粗末な展開を開発チームは望んでいたのであろうか?疑問である。

また、今回モンスターに属性というものが加えられた。
これがまたよろしくない。全てのモンスターがかなり強力な特殊能力を持っているため、
まずモンスターの個性があいまいになる。
その上その特殊能力のほとんどは確率で発動するため、
ゲームの運要素がむやみに高まっていく。
しかもこのモンスターの属性、単純にモンスターの色によって割り振られたようなのである。
新モンスターはともかく、従来のモンスターにも色に対応した特殊能力が与えられている。
まともにゲームバランスを取る気があるのだろうか。

ゲームバランスに関しては、他にも様様な疑問が残る。
まず戦車の砲弾やドラゴンの炎が、プレイヤーの最大HPの上がり具合に対してあまりにも強烈なこと。
(爆炎守り/ドラゴンシールドなどがなければ突破はまず不可能であろう)。
どうやらこれはトルネコシリーズからそのまま設定をコピーしたようである。
またゲンナマゲイズの特殊能力は常軌を逸しており、とてもテストプレイしたとは思えない。
また、不条理な即死要因が多すぎることも気になる。
特に、「オニギリ状態のときに炎か爆発で即死」はいくらなんでもやり過ぎである。
また前述のAIの頭の悪さに起因する即死(操作キャラがキグニ化等)、雷属性の敵による延々連続攻撃など。

本編に関しては、まずストーリーはあまりに幼稚というか、投げっぱなしというか、酷い。
後付の設定がポンポン出てきてとてもついて行けない。
そして異常に長い。数十時間に渡って細々としたダンジョンをチマチマ進めていくのは苦痛である。
(しかも大したピンチも起こらず、ゲーム性の変化も起こらない)
さらにこれはDS版シレンの頃からそうなのだが、RPG化を進めたかったためか、
低層ではよい武器が出ないという仕様。これも本編のマンネリ感を煽っている。
延々と仲間をチマチマと操作しながら、敵を安全にボコボコにする作業。これが本編である。

クリア後ダンジョンの水増し感にもガッカリさせられた。
アスカのように凝ったダンジョンは一つもない。とってつけたようなブフーの洞窟があるだけである。
しかもこのブフーの洞窟も、相当に出来は悪い。
白紙の巻物が量産可能というおかしな仕様のため、装備品の強さインフレが簡単に起こせるのである。
ブフーの洞窟以外は、ただ未識別アイテムを増やしただけで、バランス調整にも疑問が残るようなものばかり。
レベル継続・持ち込み可能ダンジョンでは、ただひたすら即降りするのみ。

さて、こうした出来の悪さ、そして従来作と比べての退化がどこに起因するのかと言えば、
それは開発チームがシレンというゲームの魅力を理解できていないことと、
過去作を製作したチームとの確執があったためではないかと思われる。
本作のシステムや一部の設定が、トルネコ3からの流用であることは明らかである。
そしてユーザの間では評価の高いアスカのシステムやモンスターは、ことごとく不採用となっている。
こうしたことから、トルネコチームがアスカチームのノウハウを受け入れることを拒み、
むしろ否定することでアイデンティティーを保とうとしたのではないかと思うのである。
そこにユーザは不在である。

COMMENT

ただ一言、「がっかりさせられた」。
ゲームの本質をもう一度振り返っていただきたい。
もはやこのオフラインゲームに特有な、
ユーザ不在のゲーム開発には限界があるのではないだろうか。
PCなどの、パッチでユーザと共にゲームを改良していける基盤へ移行すべき時期だ。

プレイ時間:30時間以上40時間未満(クリア済)
ラッチョさん [2008/06/14 掲載]

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