零 〜月蝕の仮面〜 レビュー
発売元 | 任天堂(オフィシャルサイト) |
---|---|
発売日 | 2008/07/31 |
価格 | 6,800(税込) |
レーティング | C / 15才以上対象(CERO について) |
ショップ/リンク | 【 Amazonレビューも参考にどうぞ 】 |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 | ホラーアドベンチャー / 1人用 ヌンチャク 対応 |
← 零 〜月蝕の仮面〜のTOPページへ戻る
スコアボード
発売スケジュール
サイト情報
★ Switch mk2をオープンいたしました。 ★
レビュー投稿お待ちしております。- レビュー更新情報(17/06/08)
-
ファミコンリミックス1+2 (1件)
ポッ拳 POKKEN TOURNAMENT (1件)
- レビュー更新情報(17/03/28)
-
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド (1件)
- レビュー更新情報(17/03/05)
-
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド (募集開始)
- レビュー更新情報(17/03/04)
-
幻影異聞録♯FE (1件)
- レビュー更新情報(17/02/02)
-
バットマン:アーカム・ビギンズ (1件)
幻影異聞録♯FE (1件)
- レビュー更新情報(16/10/24)
-
ピクミン3 (1件)
マリオパーティ10 (1件)
- レビュー更新情報(16/10/22)
-
幻影異聞録♯FE (1件)
マリオカート8 (1件)
GOOD!
零シリーズは初めてのプレイとなる。
・怖さ。特にイベントシーンの演出が秀逸で、いかにもおどろおどろしい前振りから「……やっぱり来た!」という展開を基本としつつ、それにプレイヤーが慣れ始めたのを見計らって、今度は油断しているところを突発的にびっくりさせるようなネタを挟んできたりする。こうなるともう、プレイ中は一挙手一投足に気が抜けなくなり、霊の出現中よりもむしろ何も起きていない時の方がはるかに緊張しているような有様に。「ボタンを押し続けることでアイテムに手を伸ばす(そしてたまに霊に手をつかまれる)」という新しい操作も、この「いるのかいないのか分からないのが一番怖い」という心理をうまく突いていて効果的だった。
・戦闘。初心者がとりあえず敵を撮影してみるところから始まって、「シャッターチャンス」で敵をひるませることを学び、「フェイタルフレーム」からのコンボを狙うようになって、最終的には高得点を出すためのフィルムや強化レンズの組み合わせを模索する段階へ至るという具合に、自分自身の成長が手に取るように分かるのがうれしい。もちろん、敵の方もさまざまな動きでプレイヤーを翻弄してくるから、とりわけ中ボス戦などでは手に汗握る戦いが展開されること請け合いだ。また、射影機と霊石灯という2つの武器が存在し、それぞれ違った戦い方が求められるのも、いいアクセントになっている。なお、通常戦闘中に即死攻撃が存在しないのは、アクションが不得手な人間としてはありがたかった。
・グラフィック。洋館・病院・日本家屋など、舞台となる建物はいずれも細かいところまで作り込まれていて、その中を隅々まで探索するのは怖いながらも非常に楽しいことだった。どの場所も「荒れていながら同時に生活感も残っている」という雰囲気が醸し出されているのは見事。背後からの視点の採用も、臨場感の演出に一役買っている。もちろんそればかりでなく、主人公の少女たちも非常に綺麗に描かれているから、こちらが目当ての人も落胆させられることはないはずだ。1980年代が舞台なのに服装が思いきり現代風なのはご愛嬌というものか。
・暴力やグロテスクさが控えめであること。どうしてもホラーだとその手の方向に向かいがちになる中で、かなり異彩を放っているゲーム。「残酷なのはちょっと……」という人でもプレイできるのがいい。
・ストーリーの見せ方。セリフなどによる饒舌な語りを排し、断片的な手記やメモ、古書といった資料の数々をプレイヤーがつなぎ合わせることで、「かつて何が起こったか。そして今何が起きようとしているのか」を読み解いていく。こういうスタイルが好きな人には堪えられないだろう。
・音響。本編中ではBGMらしいBGMは流れないのだが、その代わりとなるものが大変充実している。探索中にはプレイヤーの不安と孤独をあおるような効果音が用意され、いざ霊と遭遇して戦闘に入ると、心臓の鼓動音が緊張を高める一方、相対する敵はこちらを恨みがましい声でひたすら責め立ててきて、どうにか倒した時には魂消るような悲鳴が……。また、電話やテープレコーダーなどの音声も豊富で、ストーリー面でも重要な役割を担っている。
・クリア後要素の数々。本編の高難易度、ミッションモード、撮影ポイントを消費して購入する各種おまけなど、そう簡単には遊びつくせないほどの充実ぶり(ただし、バグについて悪い所も参照)。特にコスチュームでは、発売前に「任天堂から出るならこれは欲しいな」と期待していたところを実現してくれていて、ちょっと感動した。
・プレイヤーにあまり高いレベルを要求していないこと。おまけ要素の多くは、難易度を問わず周回を繰り返すことで購入可能になる。高難易度突破についても、一度クリアした時の状態を引き継いで別の難易度にも挑戦できるようになっているため、ある程度敷居が低くなっているのがありがたい。
BAD/REQUEST
・霊リストに空欄が残り、その結果「エクストラ」で1個だけ封印が解除できないというバグ。私は「自分の腕だと最高難易度をクリアするのは難しいだろうが、せめて霊リストは全部埋めたい」と思って、何度もリトライを繰り返しながら進めていただけに、このことを知った時の脱力感は大きいものがあった。
・Wiiならではの独創性に乏しい点。面白いと思ったのは、Wiiリモコンを振って敵の攻撃を回避することくらい。懐中電灯や射影機の操作は、Wiiリモコンの上向き・下向きしか反応せず、左右に動かすときはヌンチャクのアナログスティックを用いるという、やや中途半端なもの。ポインタや「ひねり」動作を使った謎解きについても、操作性があまりよいとはいえないため、無理してWiiリモコンに当てはめなくてもよかったのでは、と感じた。
・グラフィック。普段のクオリティがかなり高い分、一部のムービーシーンで画質の悪さが目立つのは惜しい。また通常のゲーム中でも、カーテンなどの薄い布がアップになったときにはやや雑っぽさが感じられる。エリア移動直後にごく短い間だけフレームレートが低下することがあるのも気になった。
・ゲーム部分の説明不足。「シャッターチャンス」や「フェイタルフレーム」は、このシリーズにおいて戦闘のかなめとなる要素なのだが、説明書に載っているのみでチュートリアルとしては解説されることがない。個々の強化レンズの性能についても、ゲーム中にごく簡潔な説明があるだけなので、初見ではどう運用していいものか戸惑うことがしばしばだった。霊石灯に強化レンズ「写」を装備した状態だと攻撃力がなくなることに気付かず、敵にさんざんなぶられたプレイヤーも少なくないのでは。また、浮遊霊や鬼灯人形は、最初の1体くらいは分かりやすいようにして撮影を促した方が親切だったと思う。
・謎解きの難易度。全般的に、他のアドベンチャーゲームと比べるとややストレートにすぎるように感じられる。「パスワードは○○」と書かれたメモを拾うよりも、さまざまな情報からパスワードを推測する方がさらに面白いのではないか。
・テキスト。ところどころに誤字が散見される。また、霊リストの説明文に禁則処理がなされておらず、ときどき句読点が行頭に来ているのはみっともない。
・ファイルの検索性の悪さ。最終的に数が膨大になるため、目当てのものを探すのが非常に大変。メニューをさらに階層化して、番号の振られている資料は一つのグループにまとめるなど、読みやすくする工夫をしてほしかった。
・曲がり角や障害物のそばを歩いていると引っかかることがある。また、エレベーターの扉が完全に開ききるまでに出ようとすると足踏み状態になってしまうのも、ちょっと間抜けな感じ。
・本編ではメニューからロードすることができず、いったんHOMEボタンメニューからリセットした後でロードする必要がある。また、ミッションモードでは途中でリトライやメニューに戻ることができないため、やり直したい場合でも、同じようにタイトル画面に戻ってデータをロードするか、あるいはわざとやられるまで待たなければならない。
・クリア時のランク表示。シリーズの伝統のようだが、「おめでとうございます、Dランクです」などと言われてもあまりうれしくない。スコアアタック向けにはミッションモードがあることだし、本編についてはクリア時間や最高スコア等を示せば十分だと思う。
COMMENT
さすがに定評あるホラーシリーズだけあって、恐怖演出のレベルはかなりの高さ。作り手の標榜する「心理的な怖さ」という看板に偽りはなかった。Wiiでとにかく怖いゲームが遊んでみたいという人は、何を措いても手に取るべき一本。また、廃墟探検という言葉にロマンを感じる人、可愛い女の子が好きな人などにもお勧めしておきたい。
戦闘難易度はやや高めだが、Easyを選んで回復アイテムや強力なフィルムを惜しまず購入・使用していけば、アクションが得意でない人でもさほど詰まることなくクリアできるだろう。反対にゲームに歯ごたえを求める向きには、高難易度やミッションモードなどのやり込み要素が用意されていて、(ホラーものにこういう表現を使うのもどうかと思うが)幅広い層が楽しめる作品となっている。
それだけに、バグを初めとして一部につくりの粗さが感じられるのは非常に残念。これについては、ぜひ次回作もWiiで出して名誉挽回を果たしてほしい。その時は、今後発売予定のWiiリモコン用アタッチメント「Wii Motion Plus」に対応すれば、よりリアルな懐中電灯&カメラ体験が実現できるのではないか……と一人で勝手に期待していたりする。