Wii mk2 - Wiiの参加型レビューサイト

GOOD!

テンポが良く読みやすいテキスト、
時として動画以上の迫力を見せる静止画、
(良い意味で)テレビドラマ的に盛り上がるBGM、
リモコン片手に寝転がりながら気楽にプレイできる操作性、
そして複数の物語が一つに収束していく見事なシナリオ。
ゲームの根幹を成す要素がとても丁寧に作られている。
サウンドノベルの評価はこれで9割確定だろう。
続きが気になって徹夜したゲームは久しぶりだった。

キャスティングは『街』のような悪い意味のB級感が無く、
(『街』はダンカンが生理的にダメで手を出せなかった)
主役から脇役まで自然な形でキャラクターが立っている。
特に亜智役の中村悠斗と大沢役の小山卓治は、
本業が役者でもないのに良い映像が撮れていた。
マイナーながら良い人材を発掘したと思う。

BAD/REQUEST

序盤に笑えるBAD ENDが、終盤に推理要素がもう少し欲しかった。
TIPのまとめリストが欲しかった。
既読テキストのスキップで飛べない箇所が多い。
本編に関する不満はこのくらいで、完成度は極めて高い。

ボーナスシナリオは1,2ともに期待外れだった。
1はありがち感動物語で拍子抜け。
わざわざ我孫子武丸にこんなものを書かせるのは宝の持ち腐れ。
我孫子氏には推理要素のテコ入れを期待していた。
2は存在そのものがこのゲームの中で浮き過ぎ。
痛々しい文体は百歩譲って「味」としても、読みづらさは擁護不可能。
ボイスは読むペースに合わないのでサウンドノベルに全く適していない。
変なアニメと超人設定は論外。他所でやってくれ。本編に絡むな。

隠し要素の開放条件が難解すぎるのはどうかと思う。
どうせネットですぐに解明されてしまうのだから、
なるべく多くのユーザーが一通り楽しめるようにすべきだ。
早売りされるのがそんなに嫌なら、後から短編でも配信すれば良い。

COMMENT

極論を言えば、サウンドノベルなんてファミコンでも再現できる。
マシンパワーに依存しない要素が評価に直結する分、ごまかしが利かない。
その点において、本作は基本的な部分が抜かりなく作られていた。
何度も繰り返してプレイする類のゲームではないが、
クリアに至るまでの間は、密度の高い充実した時間を過ごせるに違いない。
ゲームでしか味わえない上質のエンターテインメントを皆さんも是非。