Xenoblade(ゼノブレイド) レビュー

Xenoblade(ゼノブレイド)
発売元 任天堂オフィシャルサイト
発売日 2010/06/10
価格 6,800(税込)
レーティング B / 12才以上対象(CERO について)
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タギングトップ3
タイトル概要 RPG / 1人用


オリジナリティ グラフィックス 音楽 熱中度 満足感 快適さ 難易度
4pt 4pt 5pt 5pt 5pt 5pt 2pt
総合点
95pt

GOOD!

【フィールド】
私は、それほど風景に美しさを感じる人間ではないが、ガウル平原に降り立ったとき、景色に茫然とした。完全に見惚れた。悠久の風が流れている。モンスターが群れを成している。流れる雲を尻目に、川に飛び込む。滝に打たれる。湖を泳ぎ、坂を登り、草原を駆け巡る。重層的なフィールドを練り歩いているだけで楽しい。このような気分になったのは、いつ以来か。時の経過と天候が拍車をかける。夕暮れの美しさ。真夜中に見える機神の赤く光る眼に鳥肌が立つ。雷雨の稲光。マクナ原生林の大瀑布。エルト海の流星。ヴァラク雪山の結晶の透き通った光。切り立った崖の上から何度も飛び降りる。ひとときストーリーの進行を忘れて、この空間に浸っていた。何故これほど広大なフィールドを作ったのか。そう思った。これまでのJRPGから大きく逸脱しているこれらのフィールドが体現しているのはRPGとしてのロマンを取り戻すことだったのではないか。世界に触れる。冒険それ自体が意味を持つ世界。

【バトル】
昔慣れ親しんだコマンド型のターン制ではなく、シームレスかつリアルタイムで進行するので、始めは戸惑ったが、慣れてくるとこの形式でなければありえないと思うようになった。通常攻撃をオートにし、特殊攻撃を選択する方式になっており、癖があるが必殺技を繰り出す順番で、相手にダメージを与える量も異なるので戦略性がある。また、3名を戦闘に出すことができるが、パーティ一人一人の役割分担の差別化が図られており、組み合わせ次第で戦闘の様相が変化する。操作キャラは1名自分、2名オートだが、この操作キャラを変更するだけでも戦い方が変わるため新鮮な気持ちが持続する。FF7のマテリアに相当するジェムシステムや仲間たちとキズナを高めあいスキルをリンクしていくシステムもあり、ただのシームレスバトルで終わっていないのも素晴らしい。ユニークモンスターも数多く配置されており、バトルそれ自体にインセンティブが設けられているのも良い。高レベルのユニークモンスターに立ち向かい瞬殺される。自分たちより遥かに強いモンスターが物語の初期地点で跋扈している。この配置にニヤリとしてしまう。一週目の最終パーティーは、カルナ・メリア・リキ。メリアとリキが敵をこてんぱんにしている中、私はカルナでヒーラー役をする。
自分の適性が露になった。

【ストーリー・演出】
一言で言うならばゼノギアスのストーリーを非常にわかりやすく再構成した内容と言える。勿論、大まかなストーリー展開は異なるが、部分部分で高橋節が顔を出し、それを竹田氏がアレンジしていったような印象だ。わかりやすくなっている分、ゼノギアス的な難解なストーリーを期待していた者にとっては、少々もの足りなく感じるかもしれないが、主人公とヒロインが変に屈折していない分、王道ストーリーとして安心感がある。ある特定の層にしか理解できないストーリーではなく、万人に向けて作られていると感じた。また、敵役の機神界側のキャラクターがやたらかっこいい。面白いストーリーの条件として、敵キャラが魅力的なことがよく挙げられるが、ゼノブレイドはその条件を満たしている。惜しむらくは、敵側の幹部がもう少し欲しかった。ベタではあるが、四天王的な存在や機神界側に同調する者がいると、より深みが増したと思う。演出については、プロの脚本家である竹田氏が関わっているだけあって、たるみがない。リアルタイムレンダで進むため、ムービーとは異なった臨場感がある。場面ごとに見所があり、カット割なども計算し尽されている。フェイスの変形シーンや戦闘シーンは必見だろう。自分で操作してみたくなる。

【音楽・BGM】
普段ほとんどサントラを買わない私が、サントラを買わざるを得なかった。特典サントラだけで満足できるわけなく、90曲超の色とりどりの楽曲の世界に向かわせるだけの力があったのだ。6人の作曲家がそれぞれの特色を十二分に発揮した結果、奇跡的なゲーム音楽が生まれたと言える。文章ではその魅力を1%も伝え切れていないので、実際に聴いてみることをおススメする。楽曲単体だけでも名曲ぞろいだが、真価はゲーム内で聴いたときに発揮するだろう。ここ数年間のゲーム音楽では出色の出来。スクウェア全盛期のサウンドと比較しても全く引けを取らない。こういっては失礼だが、これまで知られていなかった作曲家がこのゼノブレイドを通して日の目を見ることになるのは、彼ら・彼女らにとっても僥倖だろう。個人的な神曲は「敵との対峙」「想いは内に」「Beyond the sky」「名を冠する者たち」「マシーナの隠れ里」「機の律動」が挙げられるが、それ以外の楽曲も素晴らしい。ゼノブレイドの世界観に合っているというよりもむしろ、世界観と音楽が寄り添って魅力を倍増させている。

【熱中度】
ストーリーを進めるも良し、クエストをちまちま片付けていくも良し、街を復興させるために世界を駆け巡るも良し、様々な遊び方が可能だ。どの遊び方も許容できるほど作りこまれており、脇道に逸れてしまうと、プレイ時間は優に100時間を超えるだろう。一周目クエスト消化率は半分ぐらいだったと思うが、90時間かかった。スキップトラベルや、時間変更、どこでもセーブなど、数々のユーザーフレンドリーな要素が備わっており、わずらわしい要素を省いてなお、このプレイ時間である。MMOをオフラインで気の知れた友人たちと遊んでいる感覚に近い。そもそもRPGで、一周目にこれほど時間を費やしたゲームは初めてだ。ユニークモンスターを求めて戦闘を繰り返す。クエストを消化し、街のキズナグラムが進化していくのを見る。武器防具の装備反映を眺める。秘境を求めフィールドを探索する。高台があったらダイブする。その全てを素晴らしい音楽が彩る。

BAD/REQUEST

悪い点というよりも開発陣への要望ということであえて粗探しをすると、
1.ステータス画面でのロードが若干気になる
2.ジェムの装備品への着脱が不便
3.ユニークモンスター討伐一覧がない
4.持てるアイテムに制限がある
5.もう少しキャラクターを掘り下げるエピソードが欲しい
6.キズナトークに音声が欲しい
7.ロボット戦が欲しい(実際に動かしてみたかった。)
8.戦闘の際のボタン押しはもっとバリエーションを(Bボタンだけでなく)
9.キャラのモデリングがいいときと悪いときがあり、安定しない。
10.レベル補正差が激しい。(ミスではなく、ダメージ軽減で良かったのでは)

などが挙げられる。ただ上記の内容については、ないものねだりの側面もあり、完璧なゲームを望もうとするとどうしても出てしまう人間の欲のようなものであることを付け加えておきたい。

COMMENT

初めは全く期待していなかったゼノブレイドが、情報が出てくるにつれて、どうやらこの作品は高橋氏の渾身の一作らしいと確信したのは、いつのことだったか。ゼノを冠したRPGがWiiで出ることに隔世の感があった私だが、バトルPVを視るころになると、RPGに熱中していた昔の自分を完全に思い出していた。公式HPに通い、社長が訊くを熟読し、さあ準備万端、いつでも来い!といった私であったが、実際プレイしてみると、予想を遥かに超えた作品になっていて、完全に度肝を抜かれた。プレイ時の感覚はスクウェア全盛期のRPGを彷彿とさせ、実際のゲーム内容についても負けず劣らず、正に次世代のRPGを冠するにふさわしい出来となっていた。純粋にRPGが楽しいと感じたのは何年振りか。細かい部分についてはもちろん欠点もあるが、それをものともしない強靭なコンセプトがゼノブレイドには通っている。Wiiユーザーだけではなく、他機種のユーザーにも是非遊んでほしい。RPGファンを名乗るなら必須の1本だろう。

プレイ時間:60時間以上100時間未満(クリア済)
ゼノギアス好きの一人さん [2010/07/01 掲載]

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スコアボード

Xenoblade(ゼノブレイド)評価ランク
中央値
90
難易度
2.30
レビュー数
114






サイト情報

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