ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー レビュー
発売元 | スクウェア・エニックス(オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2009/11/12 |
価格 | 7,340(税込) |
レーティング | B / 12才以上対象(CERO について) |
ショップ/リンク | 【 Amazonレビューも参考にどうぞ 】 |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 | アクション・アドベンチャー / 1〜2人用 |
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GOOD!
※ 最初に断っておきますが、このレビューは本作「クリスタルベアラー」が、ゲームキューブ版「クリスタルクロニクル」の続編として発売されたと言う事を踏まえてのレビューとなっています。
・キャラクターの思想がハッキリしていて、個々のキャラクターそれぞれに個性がある。
・声優が皆上手い。
・世界がなかなか広い。開放感がある。
・ミニゲームがなかなか充実している。海の上でドンケツし合うミニゲームは、かなり馬鹿っぽくて面白い。
・称号が多く、やり込み要素が十分にある。
・細部の作り込み(戦闘中の魔物の挙動など)を見ると、一生懸命作ったという感じは伝わってくる。
BAD/REQUEST
私はGC版「クリスタルクロニクル」が非常に好きで、あの独特の世界観や音楽にかなりの感銘を受けていました。そしてWiiの発売に伴ってE3で公開されたゲーム映像の中に、「クリスタルクロニクル」の映像があったのを見て、「次世代機でまたあのゲームが出来るのか!!」と期待に胸を膨らませ、本作発売までワクワクしていました。
しかし、このゲームはその期待を全て吹き飛ばし、私を絶望と怒りの底に叩き落しました。
以下、私が許せなかった事を挙げます。
・まず、世界観が完全に終わっている。
GC版のFFCCでは、四種族が世界に存在して生活をしていました。各種族間の偏見などがあるにはありましたが、世界全体ではその偏見なども段々と減りつつあり、各種族がそれなりに協力して世界を築いていました。
しかし、今作はその世界観をぶち壊しました。
いつの間にかリルティとユークが戦争などを始めていて、リルティだけが国家を持って他種族を支配。それどころかユーク族は世界から消滅しています。
あの昔の平和な世界はどこへやら。こんなリルティだけが成功している世界なんて誰も望んでいません。私はまだマシですが、ユークが好きだった従来のファンに対してこれはあまりにも不誠実でしょう。「戦争」だとか「支配」だとか、そんな言葉をFFCCの世界に持ち込んで欲しくなかったです。
あとは機械文明の介入。これは最悪でした。
FFCC(これはGC版に限らず、DS版のリング・オブ・フェイトなども含む)の世界は「剣と魔法で」戦うという、ファンタジーその物の世界を表現していました。最近の「ファイナルファンタジー」はやたらと銃やら戦艦やらが出てきて、ファンタジー色がなくなってSFになってしまっています。しかしその中で、「クリスタルクロニクル」はファンタジーその物の世界を提供してくれていたので、普通のFFとは違った世界を楽しめる物として評価していました。
しかし、今作では何故かそのファンタジーの世界に機械文明が介入してしまいました。今までのFFCCが作り上げて来た幻想的な世界観が、このせいで台無しです。何でそんなに飛空挺とか機関銃を出したいのか理解に苦しみます。
せっかくの魅力的なFFCCのファンタジックな世界を自らぶち壊した制作陣は、愚かとしかいいようがありません。ファンタジーに機械はまったくもって不要です。そんなに機械を出したいなら、本家FFの製作チームにでも加わってください。クリスタルクロニクルの世界に機械を出すなんて、言語道断です。
・キャラクターデザインの崩壊。これは初めて見た時、目を疑いました。
GC版のFFCCは、ほのぼのとしたグラフィックに三頭身のポップなキャラクターが登場し、それらがゲーム全体に温かみを与えていました。
しかし、これはナンですか?
突然キャラが六頭身になって昔のポップさを無に帰し、ただのリアルキャラと成り下がってしまった今作。こんなのは最早FFCCでもなんでもない。従来のファンの中は、あの可愛らしいデザインのキャラクターを見てFFCCと言うゲームを好きになった人も多いはず。少なくとも私はそうです。ソレにもかかわらず、待っていたのはただのリアルな等身大のキャラクター。初めてこのデザインを見た時は文字通り絶句しました。ハッキリ言って気持ち悪いし、これまでFFCCが作り出して来た世界観も全てぶち壊しです。
四種族の中で、クラヴァットとセルキーの差異があまりなくなってしまいました。今までなら見れば一発でどちらかわかったのですが、今作ではパッと見ただけではクラヴァットかセルキーかわかりません。重要なキャラだと「金髪がクラヴァット」と言う感じになるんですが、クラヴァットは全員金髪と言うワケではありませんでしたから、もっとセルキーとの差別化をして欲しかったです。
しかし特に酷いのがリルティ。もう見れた物じゃありません。
リルティは四種族の中で最も身長が低く、四種族の中では最も可愛げのあるデザインになっていました。
にも関わらず、今作では何故か普通の人間(クラヴァットやセルキー)と同じ、あるいはそれより遥かに巨大なリルティが登場。もうリルティの面影など微塵もありません。しかも見た目が普通の人間と異なっている為、無駄にリアルになったキャラデザインと相まって、もうただの化け物にしか見えません。最低最悪のデザインです。しかもストーリーの進行上リルティが重要ポジションにつく事が多く、物語のいたる所で気味の悪い化け物を見せられます。耐えられません。ジュグランとか、アレなんなんですか。魔物ですか。アルテアもハッキリ言って気持ち悪いです。両者共にリルティではありません。
街中にいるリルティは小さいのが多いのに、この二人だけやたらデカイから違和感出まくりです。まあ、街中のリルティでも門番とかかなり気持ち悪いですけど。
この事について製作者は「ストーリーの進行上、主人公と絡む場面があるのだが、その時小さいデザインだと見栄えが良くないから巨大化させた。」と述べていますが、そんなのただのご都合主義で、作中では何であの二人だけやたら巨大なのかの説明がありません。正直な話、だったらストーリーを変えろと言いたいですね。本来のデザインからあまりにも逸脱した化け物を出すくらいなら、ストーリーその物を変えた方が遥かにいいです。最初に挙げた通り、元々メインの世界観も劣悪なんですから変えて欲しかったです。
・音楽の異様なまでの悪化。
GC版のFFCCは、ほのぼのとした世界観を表現する為に音楽はほとんど古楽器を使い、それが非常に成功していて素晴らしい音楽を聞かせてくれました。
しかし今作は、音楽に関して大したコンセプトがないまま作っているという感じで全然いい曲がありませんでした。
と言うのも、従来のFFCCからあまりにもかけ離れてしまった世界観のせいで、従来のほのぼのとした牧歌的な曲がなくなってしまったのです。これまでは古楽器を使ってファンタジーの世界を彩っていたのに、突然エレキギターやドラムが前面に出てきて雰囲気は台無しです。
まあ、飛空挺みたいなSFチックな物をストーリーに出されてしまったら、牧歌的な曲は作りづらいと思いますけどね。でもFFCCと言えばGC版の古楽器の音楽のイメージが非常に強いので、今作の音楽は全く好きになれませんでした。
・ゲームシステムに関して言うと、やはり操作性ですね。
今作、「重力を使う」と言うコンセプトでゲームが作られているのですが、その「重力を操る」操作が難しく、慣れるまではかなり大変です。イライラもします。
しかし、戦闘が難しいからと言って意図的に戦闘を避けていると、どこかで敵に勝てなくなってしまい、結局戦闘をやらねばいけなくなります。慣れてしまえば大した事はないのですが、慣れるまではかなりキツく、慣れる前に嫌になって投げ出してしまう方も多いんじゃないかと思います。
・最後は、FFCCシリーズ全てに言える事なのですが・・・・・
そもそも、「全てのFFCCシリーズの作品は全て同じ時間軸上の話」と言う設定に無理があり過ぎると思います。
DS版のリング・オブ・フェイトが最も古い時代、今作が最も新しい時代に起きた話、などというのにはあまりにも無理があります。
世界観を見る限り、初代のGC版FFCCよりリング・オブ・フェイトの方が古いと言うのは考えられません。GC版の世界では「大クリスタルと言う物に隕石が当たって瘴気が溢れ出した」となっていますが、それより前の時代と言う位置づけになっているリング・オブ・フェイトに大クリスタルなど存在しないし、そもそも建物などを見る限り、どう見てもGC版のFFCCが最古の時代に見えます。
今作は「これまでのFFCCシリーズから数千年の時が経った」と言う設定になっていますが、たった数千年の時が過ぎただけで、それまで三頭身だった人間が六頭身に成長するなど有り得ません。かつてのあの可愛らしかったリルティが、数千年で化け物になるとは思えません。どんだけ骨格変わってるんですか。
何故、普通のFFのように各作品ごとに時間軸を変える、と言うことをしなかったんでしょうか。何故そこまで同じ時間軸にこだわるのでしょうか。全く同じ時間軸でFFCCシリーズ全ての物語が起こる、なんて設定では、どこかで必ず綻びが出るのは目に見えています。どうして違う時間軸で話を作ろうとしないのでしょう。もし今作がGC版と違う時間軸で起きた話だったなら、魔物化したリルティも少しは受け入れられたかも知れません。
同じ時間軸で話を作るのなら、絶対に破綻が生まれないように作るのは当然の事です。それが出来ないもしくは難しいのなら、時間軸を変えればいいだけの事。制作陣にはもっと考えて設定を作って欲しかったです。
COMMENT
「普通のゲーム」として見るなら、まあ及第点。
「FFCCの続編のゲーム」として見るなら、最低過ぎて採点も出来ない。そんな作品です。
採点について言えば、「今までなかった、世界観やキャラクターデザインの改悪がゲームの価値をゼロにした」ので、オリジナリティは0点にしました。この不必要なオリジナリティが、FFCC全体の価値を下げてしまったワケですから当然です。
満足感??発売の3年ほど前からずーっと楽しみにしてきて、それでいてこんな物を出されて、満足なんか出来るワケないじゃないですか。「BAD」の所に書いてある事全てをひっくるめて、満足感は0点です。
グラフィックスなんですが、何故かGC版のFFCCの方が綺麗に見えます。無駄にリアルなキャラデザインのせいか、キャラクターの唇がゴツゴツしてて気持ち悪いなぁ、と思ったので2点にしました。(特にベル。唇の色が浮き過ぎて気持ち悪い)
私は「裏切られた」と言うあまりの悲しみと怒りで一回クリアしただけで投げ捨てましたが、FFCCに特に思い入れがない人にとってはやり込み要素も豊富なので、なかなか遊べるんじゃないかと思って熱中度は3点に。
快適さに関しては、やはり操作性がネックですね。慣れるまでが大変なので、2点にしました。
正直、今まで色んなゲームをやってきましたが、こんなに期待を裏切られたゲームは初めてだし、これからも多分出てこないだろうなぁ、と思います。自分でも「よくクリア出来たな」と思います。でももうゲームのパッケージも見たくありません。
「FFCC」と言う名前を謳っておいて、この内容はあまりにも酷過ぎます。初めて見た時の私のショックは、文字では表現する事が出来ません。大好きだったGC版のFFCC、それが次世代機で続編が出ると知った時は狂喜乱舞しましたが、これはあまりに酷い裏切りです。初代FFCCの面影はどこにもなく、これでよく「クリスタルクロニクル」と言う名前を付けられたな、と思います。
今作のゲーム開発においてトップに立っていた人の話が任天堂のサイトに載っていましたが、最初部下から「従来のFFCCのようなゲームを作るのではないのか」と反対されたそうです。それを何とか落ち着かせて開発に漕ぎ着けたらしいのですが、正直に言わせてもらえば、部下にそんな正面から反対された時点でその案はセンスがなかったと言わざるを得ません。それを強行したのは、ハッキリ言って大きな誤りだったと思いました。個人的には、その部下の主張の方が正しかったと思います。
もっと制作陣の中でしっかりと話し合いをして、「FFCCシリーズの作品」として発売するのに全く問題のないゲームを作ってもらいたかったです。これはとてもじゃありませんが「FFCC」ではありません。どうして初代FFCCがどんな物か知っておきながらこんな物を作ってしまったのか、全く想像がつきません。
そんなにリアルなゲームを作りたいなら、リアルさを追求する本家FFの続編の開発でもしてくれればいいと思います。FFCCにリアルさは不必要だし、世界観を壊します。FFCCに変な物を加えないで欲しかったです。
初代FFCCが好きでFFCCのファンになった人は、「次世代機でFCCの新作が出る」と聞いたら、「あの初代FFCCのようなゲームが次世代機で出来るのか!」と思うでしょう。私はそうでした。少なくとも、誰もこんなFFCCとしての魅力がなくて多人数プレイも出来ないゲームなど期待していなかったと思います。
制作陣は一生懸命このゲームを作ったんだと思います。それはゲームをしていると何となくわかります。
でも、ゲーム製作における最も根本的な部分で決定的なミスをしてしまっているので、いくら一生懸命作ったと言っても納得は出来ません。厳しい意見かも知れませんが、「FFCCではないゲーム」を作ってしまった以上、こう言われても仕方がないと思います。
もしこのままでは、私の中でこの開発陣のイメージは最悪です。今後「据え置き機で」初代FFCCらしいゲームを作ってもらえなければ、このイメージは永遠に回復しないでしょう。
初代に原点回帰した作品を出して欲しいと切に願っています。勿論、それはDSなどの携帯機での開発で逃げるのではなく、据え置き機で真っ向から開発してもらいたいですね。