Wii mk2 - Wiiの参加型レビューサイト

GOOD!

グラフィックは非常によい。
サムスのパワードスーツはいかにも重厚である。
しかしサムスはあれを着こみながらふわっとしたジャンプをしたり、きびきびと三角飛びをしたりする。効果音もいかにも軽やかだ。
そのギャップがメトロイドというアクションゲームの一つの魅力だと思う。それについてはしっかりと表現できていた。
スピードブースター→シャインスパークは歴代で最も良いかもしれない。
リーサルストライクのサムスの冷徹かつスタイリッシュな止めの一撃はゾクゾクした。
2D視点、3D視点でみてもフィールドにおかしな点は見つからない。いかにもなマップである。
歴代ボスがカッコよく、2Dであったころの魅力をさらに強めて3Dになったのには感動した。
こんな感じでグラフィックは上等な評価が妥当である。

センスムーブという回避システムは、ハードモードによって始めて真価を発揮する。
避け放題だがちょっと欲が出て打ち込むと一撃で死亡という過酷なゲームにはぴったりのシステムだろう。

BAD/REQUEST

メトロイド最大の魅力は何か？
私が思うに、それはマップの探索である。さてこのOther Mはどうなのだろうか？
感覚的な説明で申し訳ないが、このゲームのマップは、メトロイドとは思えないほどにマップ探索の魅力がない。
最大の理由は、やはりゲームの進行上どうしても一本道にしか進めないからだろう。
今までのメトロイドであればマップごとに様々な隠し要素があった。
例えばミサイルやエネルギータンク。この辺は今作でもあった。
しかし今作には隠しルートが全然無い、合ったとしてもそれは今までのシリーズにならあったシークエンスブレイク（その時点では本来行けない所に行ったり強いアイテムを手に入れること）には繋がらない。
アクションでも随分とやれることが少ない。ボムジャンプができない、三角飛びをこまめに利用する機会がない。スーパーミサイルはただの強力なミサイルだ。
3Dになって縦横だけでなく奥という選択肢が増えたのに、何故メトロイドという舞台は狭く、自由度が下がってしまったのだろう。

メトロイドというゲームは、私のイメージでは非常に自由度が高く、クリアするにも色んな道があったと思う。
しかし今作には、それが全く無いのである。
自由に動けない。ルート探索の楽しみがない、強くなる楽しみがない。
最後の強くなる楽しみ、を奪ったのもストーリーのせいである。以降はストーリーについて言及する。
なんでかよくわからんが、今作のサムスは力をセーブしている。
その理由はアダムとかいうアホな司令官にある。以下彼のゲーム中での行動を鑑みて＆略してアホダムと呼ぶ。
アホダムは今作の舞台であるボトルシップへ調査に赴いた連邦軍のお偉いさんだ。そして主人公サムスの昔なじみである。
謎の救難信号によってボトルシップに赴いたサムス。そこにはアホダムとその愉快な仲間たちがいた。
ボトルシップは彼らだけでは危険だが、サムスはとっても強いので協力を申し出る。実際サムスがいなければ危険な目にもあった。
なのでアホダムさんもサムスの助力を受け入れた、しかし武装については制限を加え、進行ルートも私の指揮に従ってもらうとか言っちゃったのである。
アホダム遭遇前のサムスも何故か力をセーブしているのだが。

なんでアホダムなのかというと、パワードスーツ機能解除のタイミングがおかしいからである。
サムスがぜぇぜぇ息を切らし、過酷な熱によって死にそうになっていてもアホダムはバリアスーツの機能を解除させない。
そこでスクリューアタックがあれば敵を一掃できる場面なのに、アホダムは解除させない。
アイスビームがないと手も足も出ない場面なのに、アホダムは判断が遅い。
とにかくアホダムは判断が遅いのである。
というかサムスはいつでも本気を出せる状況なのに、アホダムの指示が無ければ強化できないというのが実に腹がたつ。
それならば「ハイパービームがあまりにも強すぎたのでスーツの機能が一時的に不全に陥った。しかし敵を倒してアイテムを手に入れることによってスーツが正常化、力を取り戻していく」とかでよかったのではないだろうか。
パワードスーツの機能が完璧ならばセクター0というゲーム上重要な部分に行けるかもしれないから、とアホダムを一応弁護してみるが、それこそアホダムがしっかりしないといけない部分である。

だが最大の罪はサムス・アランのキャライメージの破壊である。
これまでメトロイドはサムスの人格については言及してこなかった。
しかしゲームのダークでハードな雰囲気から、メトロイドファンはサムスがどんな人物かを想像してきた。
ひたすら冷静でその精神は極めて強靭な戦士。しかしオフのときは母性的。概ねこんな感じだ。
それで今作はどんな感じだったのかというともう正反対であった。
一々動揺し、度々声を荒げ、逐一泣く。
こんなのサムスじゃない。

宿敵リドリーと対峙したときに、なんとこれまで無かった反応をするのである。
子供時代のトラウマが蘇り、サムスは狼狽し、ひどく混乱し、全く戦えなくなる。これを見たメトロイドファンの心境や如何に。

というかこれまでリドリーとは何度も戦っているのだ。そしてそのたびにリドリーを爆散させてきたはずである。それなのに今作のこの反応。不可解の極みである。
私は幼すぎたとサムスは棒読みで何度も述懐するが、今でも子供すぎである。正直がっかりだ。
サムスはリドリーを見ても「元気そうじゃないか、リドリー」とニヤリと笑う人物であってほしかった。

こんな感じで今作の目玉であり、これまでのメトロイドには無かった部分であるストーリーが駄目なのである。

音楽は全く印象に残らない。といままず音楽が流れない。なぜ桃屋ジングルがないのだろうか。理解出来ない。
ステージにあった音楽もメトロイドの魅力だったはずだが。
0点にしたかったがリドリー戦だけは良かったので1点。

COMMENT

操作性がよくない。とくにサーチングビューでのセンスムーブのやりにくさといったらたまらない。
この状態でなければミサイルが使えないというのも実にバカバカしい。
リモコンだけで操作というコンセプトは立派だが、そのせいで操作性に難が出るのならおとなしくヌンチャクやクラコン、GCコンを使うべきだろう。
というかリモコン操作というのは極めて不安定なものである。ゲームする位置によってはろくに操作ができなくなる。
Wiiというハードの悪いところが出たゲームである。

ストーリーに特に絡まない、やる意味が薄い上にサーチするポイントを見つけにくい強制サーチングビュー。
強制サーチングビューはこのゲームの不親切さの体現である。ヒントをよこせ。
なんでそこ歩く必要があるの？ゆっくり動く必要ないよね、と言いたい強制歩行ポイント。
どうでもいいラスボスの過去説明、ラスボスが回想ムービーでカンフーアクションしたときには何の冗談だと思った。
メトロイドがノーヒントなのはよくあることだが、Oter Mはノーヒントだけでなく不親切なのである。
とにかく一々不愉快なゲームである。
不親切で、その癖束縛してきて、つまらないのがOther Mだ。
悪い点を書き連ねてきたが、正直書き足りない。まだまだ不満はある。

今作はとにかく束縛してくる。気に入らない。本当に気に入らない。
グラフィックやリモコン横持ちアクションは完成度が高いだけに非常に惜しい。
メトロイドフュージョンの悪いところを進化させたゲームである。そういえばこのゲームにはアホダムがいた。
アホダムが出ているメトロイドは糞ゲーなのだろう。いや、フュージョンはそんなに悪いゲームでもなかったが。
シリーズファンは絶対にOther Mを買ってはいけない。

始めてメトロイドをやる人にもOther Mは決しておすすめしない。
VCでスーパーメトロイドが出ているのでそれをやるべきだろう。最高傑作のメトロイドである。
そしてプライムシリーズやゼロミッションに触れてみて欲しい。Other Mの購入だけはやめたほうがいい。

メトロイド生みの親である坂本賀勇氏が、メトロイドシリーズに泥を塗ったのはとても悲しく、残酷なことである。
今後坂本氏には決してメトロイドに関与せず、メトロイド次回作は今作の不満を一掃する素晴らしい出来であることを祈りつつ、レビューを終えさせていただく。