ソニック カラーズ レビュー
発売元 | セガ(オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2010/11/18 |
価格 | 6,090(税込) |
レーティング | A / 全年齢対象(CERO について) |
ショップ/リンク | 【 Amazonレビューも参考にどうぞ 】 |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 | アクション / 1〜2人用 |
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GOOD!
ソニック20周年を直前に控えたWiiソニックの新作で、HD版ソニックワールドアドベンチャーの実質上の続編。
低速閾の操作性が大幅に改善されており、ゲームとしての完成度がシリーズの中でも抜きん出て高い。
また、ソニックシリーズには珍しいぐらい細かいところで気が利いており、全体として「丁寧」な作品であるという印象を受ける。グラフィックの作りこみ、基本システムの高い独創性などは前作ソニックワールドアドベンチャーから上手く継承しており、Wiiソフトの中では最高クラスである。
・ゲームシステム(ファンにとってはここが最も重要なので詳細に記述します)
無駄は省いた設計で、アドベンチャーパートは存在しない。各ステージにACT1〜6+BOSS戦があり、カーソルでステージ選択していく方式。総ACT数は40を超えていて、多すぎず少なすぎずである。中にはコンセプト性が強いショートACTもある。そのあたりもソニックワールドアドベンチャーの系譜。個人的には良い傾向だと思う。
アクションも基本的にはソニックワールドアドベンチャーの系列。ハイハイ移動がオミットされて(低速スタートでもスライディングになる)、代わりに二段ジャンプが追加された。
二段ジャンプはシリーズ経験者には違和感を感じる(マリギャラからの輸入という印象も受ける)かも知れないが、個人的には高評価している。ソニックワールドアドベンチャー系列からはゲームスピード向上のために、空中での制動がかなり「固め」になっている。SA2のようなふわっとした挙動では無くなってしまったため、小さな足場に着地するときなど不快感が強かったのだが、今作での二段ジャンプは実質上「空中ブレーキ」として作用してくれるので理不尽さは感じなくなった。とにかくジャンプが楽しいゲームになった、と言えば伝わるだろうか。
ホーミングアタックの挙動が改善されており、バシュっと気持ちよく発動できる。傑作と言われたSA2の挙動と、近年の小気味良い長射程ホーミングアタックが混ざったような感じ。グローブを持ってキャッチボールをしているような快感と、スピードを殺さない絶妙なバランスが好印象。ボタン配置もGOODで、誤射が無いだけでなく、空中での快適性の向上に貢献している。つまり、空中で「そのまま着地」「二段ジャンプ」「ホーミングアタック」「ジャンプダッシュ」「それらの組み合わせ」といった多くの選択肢を持つ今作の特徴に非常にマッチしているボタン配置。理不尽な感じを受けない。今作のホーミングアタックは素晴らしいの一言。
ジャンプダッシュもマイナーチェンジしている。挙動としては初代ソニックアドベンチャーに近く、発動後に減速しないため快適。ソニックアドベンチャーと違う点は青いオーラが無くなった点。ホーミングアタックとは完全に別物になっている。ビジュアル的には初代ソニックアドベンチャーの方が優れていると思う。あの青いオーラが好きだった人には寂しいかもしれない。
グラインドもかなり良い。が、重力による加減速感がイマイチ無い。ブーストで無理やり押してる感があって、遊び心が描き立てられないかも。でもちゃんと逆走できます。そしてきちんと気持ちいい。
そして、今作最大の特徴と言えるカラーパワー。
皮肉に聞こえるかもしれないが、今作はカラーパワーがあまり「大きなウェイトを占めていない」点が素晴らしい。要するに使っても使わなくても良い設計になっている。これは高評価できる点で、元々、基本動作だけで楽しめる3Dソニックが必要以上に煩雑なゲームになるのを防いでいる。押し付けがましくない。
後述するが、今作のカラーパワーはどれも過去作に登場した看板アクションのリスペクトになっている。ソニックは作品ごとに特徴的なアクションが追加されていったが、ソニックワールドアドベンチャー系列からの飛躍的な高速化に伴ってオミットせざるを得なくなったものが多い(スピンダッシュがその代表だろう)。そういったアクションを「アイテム」として選択的に使用できるようになった、というのが本作のカラーパワーシステムで、むしろ過去作からのファンこそ歓迎すべきシステムである。ソニックのゲーム性が失われる心配は一切なく、むしろソニックらしさに溢れている。
以下、その他の点について。
・グラフィック
HD版ソニックワールドアドベンチャーに準拠した高品質なつくり。光の表現で一歩劣っているかもしれないが、間違いなくWii最高峰。キャラクター達のしぐさが豊かなので、ビジュアル的な美しさが高い。ソニックのかっこよさを堪能できる。カメラワークも優秀。特に、グラインド部分が素晴らしく、分かってるなぁと。何度もグラインドしたくなる。
タイトルどおり、カラフルな色使いが特徴。あるステージだけは草原を走れるのだが、他のステージが強い人工色であるだけに感動的な気持ちになる。環境破壊への強い批判に成功している。
・キャラクター
登場するのはソニック・テイルス・エッグマン・エッグマンロボ2名。
テイルスはシリーズ最高に可愛い。魅力的な女性のような良さがある。ファンは必見。
エッグマンロボもいい味を出している。レギュラー化希望。
一方、ソニック自身はちょっと嫌なやつになっている。ナルシストで口数が多い。まぁカッコいいけど。今回、ナックルズ的なキャラもソニックが兼ねてしまっている。テイルスの方が精神年齢高そう。
・ストーリーと世界観設定
軌道エレべータの先の衛星とミニ惑星が舞台。ストーリー的には明らかに外伝的で、キャラが成長するわけでも新登場するわけでもない。「怪しげなエッグマンランドに乗り込もう」というだけのストーリー。で、お約束どおりエッグマンの企みを打ち砕いて・・・・という展開です。今回エッグマンがちゃんと主導権守れてます。ちなみに今作ではカオスエメラルドは一切ストーリーに出てきません。存在はしていますが。そういった、カタストロフィーの元凶のような要素が無いので、ストーリーに緊張感が少ないのかも。ソニックとエッグマンの日常、という感じのストーリーですね。
ウィスプというエイリアンっぽい見た目の可愛いやつらが登場しますが、実質彼らはストーリーには絡んできません。ソニックシリーズではエッグマンロボには小動物が乗せられていましたが、それと同じ扱い。エネルギー資源みたいに使われるだけです。主体性無し。
・カラーパワー
先述しましたが、実質過去作のリスペクトです。多分ソニックアドベンチャーシリーズ以降の、カオスエメラルドによるキャラ強化が本来のコンセプトです。SA2でのカオスコントロール第一段階(光速移動)、第七段階(スーパー化+大規模時空転送)、新ソニでの第二段階(小規模タイムスリップ)という設定が元となって、カオスエメラルドが単体でも効力を発揮することをゲームシステムに組み込んだ感があります。いままでは7つ揃えてのスーパー化のみでしたが、確かに単体でも使えないとおかしいですからね。以下、元ネタの列挙。
レーザー:色からしてカオスコントロールによる光速移動+ライトアタック。
ドリル:スーパーソニック(HDソニックワールドアドベンチャー版)
スパイク:スピンダッシュ
ホバー:テイルスの浮遊+ライトダッシュ
ロケット:ステージの仕掛けとしてのロケット
フレンジー:ナックルズの破壊要素
キューブ:新要素?
こんな感じで、過去作からオミットされてしまった要素を楽しめるようになってます。
・サウンド
ソツの無いつくり。どれも良曲です。ステージごとにテーマがあり、それがACT毎にアレンジされている。上手い音楽の使い方だと思います。
惑星ごとにタイプの違う曲が流れるのですが、過去作との統一性もあります。例えば、山のステージでは初代ソニックアドベンチャーのレッドマウンテンと似た曲調です。
SA2ではストーリー進行が曲調(爽やかなロックや、緊張感のあるクライマックスなど)を決めていましたが、今作では背景のイメージから曲調を導いた感じですね。
・やりこみ要素
ステージに5つずつ隠されたコインがやりこみ要素の一つになっています。
ソニックは基本的にはスピード勝負のゲームですが、低速でゆっくり散歩しても楽しい「箱庭ゲーム」としての隠れた一面もあります。そういった一面を、プレイヤーにアピールする良い要素だと思います。
即ち、一周目のプレイではソニックらしくかっ飛ばし、二周目のプレイではゆっくり探索しながらマリオ的なアクションゲームとしてオブジェクトを楽しむ。そういうプレイスタイルをプレイヤーにそっと提案しています。ここでもカラーパワーシステムが大いに生きていますね。本当に楽しいです。オールコンプリートの御褒美もお約束ですね。
BAD/REQUEST
どこでも同じような評価でしょうが、やはりストーリーや世界観設定に若干の不満点があります。
心理描写は皆無に等しく、キャラは苦悩したり成長したりしません。すべてがとんとん拍子に進みます。
そういう意味では起承転結がしっかりしておらず、起承結といった感じ。紙芝居にしたら5分で終ると思います。
また、ソニックのキャラクター性がちょっと変わっています。悪いとは言わないのですが、海外の方と日本の方との解釈の違いでしょうね。
今まで、ソニックは自信家ではありましたが基本的に「余計なことは言わない」タイプでした。軽口を叩くことはありましたが、それはいつだって内向的な仲間を励ますためであって、1人のときは無口なやつでした。精神年齢も恐らく全キャラ中最も高く、いわゆる他キャラとは別格、ときには神々しいぐらいのキャラでした。
基本的には動じない、本当の意味でのクールだったんですが・・・。
今回、やたらと独り言が多いです。あと、ナルシストで、嫌な感じに人に小馬鹿にしています。エッグマンがやたらとツンデレしてるだけに、なんかエッグマンが可哀想・・・。あんまり今回はエッグマンが悪役に見えないこともありますが。
そしてテイルスの方がはるかに大人でした。今作ではソニックよりテイルスの方が優位です、多分。
そもそもソニックは考えることを今回テイルスに丸投げしました。
また、俺の方がカッコよくて強いだろ?と主張するソニックに、優しくたしなめるような声で「ううん。強さと顔は関係ないと思うよ?(微笑み)」と返すテイルス君萌え。子供っぽい彼氏をたしなめる彼女のようです。
「嫌な予感がするな」と言うソニックに対し、「僕はさっきから嫌な予感がしてたよ」と返すあたりもさすが。周りが見えてます。今回一番クールだったのはテイルス君でした。
その一方で、今回のストーリーでエミーを起用すれば良かったのにな、という念も強いです。そもそもテーマパークで遊ぶという設定上、その方がナチュラルでは・・・・? 完全にエミーの設定が死んでいるのを感じました。テイルスが彼女化していただけに。
あとこれはBADに書くべきことかは怪しいですが・・・。
常にソニックはマリオと比較されてきました。
そして、違った方向性でお互い進化してきてたんですが、今回はかなりマリオギャラクシーの要素を輸入しています。
以前はマリオギャラクシーの方がSA2の要素を輸入して進化しました(小惑星を飛び回るというコンセプト、手を後ろにする走り方、クルクル回るジャンプなど)。
そして今回、逆にソニックがマリオの要素を輸入して進化しました(色使い、サウンド、二段ジャンプ、ポップな世界観)。
ゲームとして良いところを吸収し合うのは良いことですが、ソニックらしさというか、あの独特の尖がった感じが減ってしまったのは少し寂しいかなと思います。ゲームシステムだけじゃなく世界観設定までマリオギャラクシーに引きづられてしまったのはソニックチームの敗北。だからこそストーリーを頑張って欲しかった。
COMMENT
・カラーパワーという設定について
これはシリーズファンからの主観的な考察なのですが、多分ウィスプによるカラーパワーというのは後付けです。本来は「カオスエメラルド」によるカラーパワーというプロットがあったのだと思います。
初めはカオスエメラルドによるソニックの局所的パワーアップがゲームコンセプトだったはずです。
ただ、「カオスエメラルドによるカラーパワー」だとゲームシステムとして上手くいかない(ステージ上に複数同色のものが存在している必要があり、すなわち使い捨てである必要があるため)。そのため、カオスエメラルドの変わりにウィスプという代役を起用した感があります。
要するに、今作は設定重視ではないですね。ゲーム性が最優先された。それはそれで良いと思います。そのおかげで3Dソニックとして今作は集大成的な出来になってます。
次回作でストーリーに集中できれば、間違いなくSA2を凌駕する名作になるでしょう。そういう予感を抱かせる作品かなぁと思います。
ちなみにリモコン+ヌンチャク使用。50インチの大型テレビでプレイしましたが画質など不満点は一切無しです。ロードも短いので快適ですね。