THE LAST STORY [ラストストーリー] レビュー
発売元 | 任天堂(オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2011/01/27 |
価格 | 6,800(税込) |
レーティング | B / 12才以上対象(CERO について) |
ショップ/リンク | 【 Amazonレビューも参考にどうぞ 】 |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 | RPG / 1人用 |
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GOOD!
藤坂公彦さんデザインのキャラクターは魅力的。
無難過ぎず、かといって媚びた感じも無し。
どこか垢抜けないものが多い任天堂のコア向けソフトの中では珍しく良い塩梅だ。
キャラクターの性格付けや台詞回しも自然な形で良かった(主人公ヒロイン除く)。
会話テキストに目眩を起こすことも少なくない昨今の和製RPGにおいて、
アレルギー物質の少なさは貴重。
グラフィックは全体的に彩度が低く暗めの色使い。
ボヤケを犠牲にジャギ軽減を取るスタイルはゼルダトワプリやモンハン3の系統か。
このタイプのグラフィックはブラウン管テレビならかなり綺麗に映る。
ルリの街はイメージイラストに忠実に、細部まで丁寧に作られている。
一方でダンジョンの絵作りはやや単調に思えた。
「映画音楽に近い要素とか、肌触りみたいなものを取り入れました」と
植松さんが語るBGMは、確かにゲームの雰囲気を壊さないもの。
しかしどこか印象に残らないのは、本作が映画ではなくゲームだからだろう。
ベタベタに臭いゲームミュージックでもゲームに溶け込むことは可能だと思う。
現に後半の一部の戦闘曲は近年の植松氏らしい弾けたテイストなのだが、
BGMが浮いている印象は特に受けなかった。
BAD/REQUEST
「ステージクリア型RPG」とでも表現すれば良いのか、
全ての戦闘がSLGばりにカチッと配置されているのはどうも味気無い。
シームレスな戦闘だからこそ、ある程度のランダム性が欲しかった。
ストーリーが急展開してあちこちにたらい回しにされるのは、
悪い意味でFFの名残りを思わせる。
もちろんリニア型RPGでも面白いものもあるが(それこそFFとか)、
ルリの街という明確な拠点を持つ本作は街を中心に活動したかった。
サブクエストも酒場に依頼を集約させる形にした方が分かり易かったと思う。
レベルの調整が大雑把。
ボスで詰まらないように直前に敵召喚サークルが用意されており、
数十秒で殲滅できる雑魚を倒すとレベルがグングン上がっていく。
「成長の楽しみ」はRPGにおける重要な魅力の一つ。
ストーリー上のボスで苦戦したから他のクエストで強化しようとか、
そういった攻略の自由度を放棄しているのはいかがなものか。
ドラクエで魔王の隣にメタルスライム部屋があったら白けるだろうに。
途切れ途切れに挿入されるイベントシーンのせいで没入感が殺がれる。
ちょっと進んでイベント→戦闘→ちょっと進んでまたイベント…の繰り返し。
もっと戦闘させてくれ、遊ばさせてくれ、とプレイ中何度思ったか。
強制イベントの発生で移動中の会話が切られることも多い。
仕方ないから会話が終わるまで棒立ちして移動を待つようになったり。
本来はゲームプレイの連続性を保持する為の演出なのにこれでは逆効果だ。
寄り気味のカメラワークで多人数が入り乱れるゴチャゴチャした戦闘は
全体の戦局が把握しづらく、目玉要素であるギャザリングの使い心地がイマイチ。
要らないとまでは言わないが、ゲームを通じて引っ張るほどの魅力は無い。
仮にギャザリング抜きのアクションRPGだったとしても、
戦闘の評価は大して変わらなかったと思う。
※ヘイト管理という点では、ゼノブレイドは未来視システムと併用することで
「システムを有効活用した高揚感」をプレイヤーに与えることに成功していた。
物陰に隠れるシステムにしても同様で練り込み不足。
他の行動とボタンが共通しており、誤操作でイラつくことも。
レアアイテム収集やオンライン要素も特別奥が深いものではない。
Wizardryやハクスラ系のような中毒性も期待していたのだが…。
全体を通じて「ここが面白い!」と言える強烈な魅力に欠けている。
優れたRPGに出会うと寝食を忘れて没頭してしまうものだが、
本作は「とりあえずクリアまで頑張るか」程度のモチベーションしか保てず…。
COMMENT
濃厚な坂口イズムに胸焼けを起こしそうになった。
唐突なお涙頂戴イベントにFF2を、
メンバー選定の都合で起こる自己犠牲にFF4を、
つまらないミニゲーム強制にFF7を思い出した。
テキスト(ナレーション)で雰囲気を盛り上げるTRPGテイストはFF1、
ベタなローマの休日ごっこはFF9か。このあたりは嫌いではないが…。
昔のFFが評価されていたのはおそらくこういった所ではないだろう。
同時代のゲームの中で突出していたグラフィックの美しさ、
極めて快適性に優れたユーザーインターフェース、
そして進取の気性に富んだ戦闘システム。
これらの諸要素が稚拙な部分に目を瞑らせるだけの魅力に溢れていたのだと思う。
対抗馬がドラクエと劣化ドラクエもどきしか無かった時代背景にも恵まれていた。
その点で本作はどうかというと、
グラフィックは綺麗だがHD機の海外製大作ソフトには当然ながら見劣る。
そこは責められないが、ハードに依存しない部分の絵作りも特段目立たない。
UIもゲームオタクがゲームを作る現代においてその優位性は失われつつある。
戦闘システムはようやく「はないちもんめ」の棒立ちスタイルから卒業したが、
練り込み不足の感は否めなかった。
これがスクエニ製だったらスクエニのくせに結構頑張ったねと褒めていた。
だが、任天堂が全面協力した「あたらしいかたちのRPG」を謳う大作としては落第。
決して駄作ではないにせよ期待に応えられる内容でもなかった。
和製RPGの作法から脱却しようとする意図は感じられたが、
旧態依然とした部分はまだまだ残っている。
やけにリアルな果物の転がり方だとか、殆ど使い道の無い花火だとか、
枝葉の作り込みに妙な熱意を感じるのに、それが全体のゲーム性に寄与していない。
肝心要の幹が頼りないから余計にバランスの悪さを感じる。
これは明らかにディレクター=坂口さんの責任ではないだろうか。
これが坂口さんのラストではあまりに寂しい。
次こそ「さすがFFの生みの親」と思わせる傑作を作って欲しい。