THE LAST STORY [ラストストーリー] レビュー

THE LAST STORY [ラストストーリー]
発売元 任天堂オフィシャルサイト
発売日 2011/01/27
価格 6,800(税込)
レーティング B / 12才以上対象(CERO について)
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タギングトップ3
タイトル概要 RPG / 1人用


オリジナリティ グラフィックス 音楽 熱中度 満足感 快適さ 難易度
1pt 4pt 2pt 1pt 1pt 1pt 2pt
総合点
28pt

GOOD!

■イラスト■
藤坂公彦氏の存在感有る魅力的なイラストで、発売前から色々と想像し世界観を広げる楽しみが感じられた。
個人的に、初回特典の資料集が欲しかったが為に発売日購入を決断した、と言っても過言では無い。

■声優■
キャラのイメージに合った、ちゃんとした演技が出来る声優さんがチョイスされていたと感じる。

■グラフィック■
HD機と比べ見劣りしてしまうのは致し方無いとして、それでもWiiの中では最高峰のグラフィックだと思う。

BAD/REQUEST

■ストーリー■
「コテコテの王道だから」とか「先が読めるから」以前に、ただただ「つまらない」。

脚本・物語・キャラの言動全てに芯が通っておらず、全体的に説得力が感じられない。思い付きで継ぎ接ぎしただけなんじゃないかと疑ってしまう程の、安易な設定や展開の数々。

理解に苦しむキャラの言動(無銭飲食しでかしたキャラがすぐ後に「無銭飲食するな」と他人を説教する/すぐにでも敵の後を追わないとならない様な予断を許さない状況下で主人公&ヒロインが呑気に何時迄も抱き合っている/序盤で瀕死になった仲間を『異邦のもの』の力で助けておきながら、それ以降瀕死を負った人物にはその力を使う素振りも見せず見殺しにしている等々)や、ご都合主義以外の何者でも無い全体の流れ(先の戦闘で唯一の脱出ルートである橋を自ら壊しておきながら次のシーンでは何事も無かった様にその橋の向こう側にキャラが移動している/主人公らがピンチになると都合良く『異邦のもの』の力が働き助けてくれる/終盤、とあるキャラが何時の間にか離脱しているのに誰もその事を指摘せず存在が完全に無視されてしまっている等々)には唯々唖然。

又、全世界の存亡を賭ける程の壮大な話(大地の荒廃云々)……のはずなのに、ほぼルリ島のみが舞台、しかもその極狭い人間関係の中だけで話が始まり完結してしまう為、非常に世界が、スケールが小さく感じられた。

簡単に言ってしまえば『小さな島国で内輪もめしてる間に気付けばオマケで世界を救っていました』ぐらいの印象。事の重大さが全く伝わって来ない。

他にも、頻繁にイベントムービーを差し込んでおきながら、そのムービーを見れば分かる状況迄もいちいちテキスト&ナレーションで再びくどくど語ったり、知らないと世界観を把握出来ず物語を楽しめない可能性のある情報さえも、本編の演出で読ませる事無く、図書室の天球儀(=テキスト閲覧)や仲間或いはサブクエの会話に丸投げだったりと、ゲームをplayした限りでは一番開発側が見せたかったであろうと思われる部分でありながら、余りにお粗末な扱い過ぎて呆れてしまった。


■キャラ■
個々の心情の掘り下げや生い立ち描写がほぼ皆無な為キャラが皆薄っぺらく、最初の頃は好感を持てていた傭兵団の面々すらも、終盤では芝居がかった白々しい台詞の数々に苛々。

主人公に至っては、ほぼこちらの予想・希望を真逆に行く選択肢ばかり選び取り行動してしまう為、全く感情移入も出来ず好感も持て無かった。
それに伴い、ほぼ全編に渡ってメインで繰り広げられる主人公とヒロインの恋愛模様にもうんざり。

もう少し傭兵団の面々にも丁寧にスポットを当てて欲しかったと思う。
ネタバレになるので詳細は綴れませんが、とあるキャラに至っては終盤何故あの様な行動を取ったのか、その動機が最後の唐突な自白だけで明かされる……と言うのは余りに適当過ぎだったのでは。


■バトル■
カメラワークの酷さ、頻繁に起こる処理落ち、操作性の悪さとそこから来る誤動作に終始苛々させられた(障害物の陰に隠れようとしたら回避行動を取ってしまい敵の眼前に躍り出る形になってしまったり)。

オート/マニュアル操作だと攻撃時以外の操作も異なる為、マニュアルを選ぶ場合はオートに慣れる前に切り替えた方が賢明か。
それ以前に『マニュアル操作だとオート操作時より攻撃力が下がる』と言う仕様が既に意味不明。

又『ギャザリング』が本作のバトルシステムの肝、と言う風に発売前に取り沙汰されていた様に思うが、実際のところ(例えば【ゼノブレイド】の『ヘイト』の様に、既に似たシステムのバトルを体感していた為か)差ほど目新しさは感じなかった。

何より、折角ギャザリングで主人公を囮にしても、仲間のAIが余りにお粗末(「氷属性攻撃を吸収する敵だ」と言いながら自らその属性魔法で攻撃し続ける/「水の中だと回復する敵だから陸におびき寄せて叩け」と言ってるのに進んで水中に飛び込み敵を足止めする/誰かが瀕死状態になっても指示しない限り回復魔法を使用しない/或いは瀕死状態になっても回復サークルに移動せず倒れる迄特攻し続ける/違う指示を与えない限り如何なる状況下でも同じ行動を延々と繰り返す/敵に囲まれてるのに応戦も逃げもせず呑気に魔法詠唱を開始しボコられる、の繰り返しで何時の間にか倒れている等々)な為、このシステムが余り活かせていない印象。

結局のところplayerは主人公を動かしつつも仲間の全ての行動を逐一、課せられた制限の中で制御しなければならない。

そのくせ、主人公のスキルゲージがMAX状態でないと仲間に指示が出来ない等、地味にストレスが溜まるし、今時点で仲間が一体何をやってるのか把握し辛い(Aボタン長押しで画面制止&ウインドサークルを動かさないと敵味方の位置関係が把握し難い)のも如何な物か。

先述のギャザリングや制約の多いシステム等で、駆け引きが重要視される戦略性の高いバトルなのか……と思いきや、実のところ開発側による誘導も多く(ボス戦前に必ずと言って良い程お手軽Lv上げスポットがある/相手の弱点や倒し方を仲間がすぐに喋ってしまう/そしてその解通りに戦わないと相当な苦戦を強いられたり時には討伐不能な敵・ボス迄存在する/反して雑魚はゴリ押しで勝ててしまう等)終始『開発側の思惑通りにやらされている』感が強く、自分で戦略を探る楽しみはほぼ皆無、単に戦闘が作業でしか無かった。


■演出■
少し歩いただけでムービー、ボス登場ムービー、戦闘に入ったと思ったら少ししてムービー、戦闘終了後に又ムービー……と、兎に角『ゲームの合間にムービー』ではなく『ムービーの合間にゲーム』と言った印象。

しかもムービーは早送りのみでスキップ出来ない仕様だったり、特定の場所では仲間同士の会話が終了する迄先に進めないと言う始末。

明らかに開発側の押し付け感を感じ、うんざりしてしまった。
様々なユーザーのニーズに応える為にも、せめてムービースキップぐらいは付けるべきだったのでは。

又、本編で二度程有る一騎打ち、その最中に差し込まれるムービー演出もがっかり。
速さによるスピード感ばかりが重視されていて、人間の動きとしてリアリティを感じない、武器の重みや空気感も感じない画作りで緊迫感溢れるはずの殺陣が滑稽にしか見えなかった。


■街■
徹底的に作り込まれたと言う割に面白味の薄いルリの街。
袋小路や小道でアイテムを探す楽しみは最初の頃こそあったが、そのアイテムも別段魅力的な物では無い為、探索する意欲も早々に削がれてしまった。
加えて、細く曲がりくねった道をくねくねと探索するのは3D酔いし易い人間には苦痛。

大勢居る街人の大半には話掛けられず、しかも少しぶつかっただけで盛大に吹き飛ばされ挙げ句文句を言ってくる仕様はリアルを追求したにしても余りに不快。

又、ステータスのMAPから特定の場所にジャンプ出来る仕様だが、屋内からはジャンプ出来ないらしかったり、街から畑にはジャンプ出来るのに畑から街へはジャンプ出来なかったり、街→城・城→街の各ポイントにもダイレクトでジャンプ出来ない(街に移動する際には必ず大広間を通り街へ出て、城に行く場合は必ず城門広場から城に入らないとならない)等制約が多く、ジャンプしたい時こそジャンプ出来無い事の多さに度々苛々が募った。何の為の仕様だったのか。

何気なく街人に話掛けたら突然クエストに巻き込まれた、と言う事も度々あるが、クエストログが無い為、自らメモするか逐一記憶するかしか無いと言うのも煩わしい。
最初のクエストを請けた後になって『クエストログを確認する』と言う概念が本作に無い事を知り、呆気に取られてしまった(一応、依頼人に再度会う事が出来ればクエストの内容を確認する事は出来る模様)。


■衣装カスタマイズ■
圧倒的に防具の種類が少なく、変えられる色も同系色の明暗違い(暗めの赤・やや暗めの赤・赤・やや薄めの赤・薄めの赤、と言った具合)が多い印象。

しかも、その色のバリエーションを増やす為には特定のアイテムを染料に交換して貰わないとならない等、手間の割に恩恵が薄く全ての染料を集めようと言う意欲は湧かなかった。

他にもパーツの取り外しは細かく出来るものの、元々の種類が少な過ぎる上にその数少ない防具も余り代わり映えしないデザイン(ドレスやワンピ・騎士の鎧と言ったネタ?防具は極僅か)だったりと、総じてカスタマイズ意欲をかき立てられる程の内容では無かった。


■音楽■
メインテーマ以外、殆ど印象に残らない。

『世界観を邪魔しない』と言う点で環境音楽に徹しているのかと思ったが、ラスボス戦BGMはそれ迄の曲調とは大きく印象を違える自己主張の強い曲となっており、そのギャップに違和感を非常に強く感じ、今迄の静かな音とは異なる鋭利な音の数々は時折耳障りにすら感じられた。


■セーブポイント■
そんなに必要無いだろう、と言う場所に頻繁に設置されている(リフトに乗る前にセーブポイント→リフトに乗って辿り着いた場所にすぐセーブポイント等)割に、セーブポイントが欲しい場所に無かったり(ある場所でのイベントが一通り終わったと思ったら、延々と海を泳がされた挙げ句セーブポイントも無いままボスとの一騎打ちに巻き込まれてしまったり等)と、どうも配置のバランスが余り良く無い様に感じられた。

COMMENT

・26型デジタルハイビジョン液晶TV
・D端子使用
・リモコン+ヌンチャク操作
・総play時間:25時間37分
・オンライン未play

事前情報や宣伝、何より坂口氏の「これで最後の作品となっても後悔しない」と言う決意に期待していた事もあってか、いざplayしてみると、何処を取っても殆ど褒められる点が見当たらない出来に、唯々「残念」としか言い様が有りませんでした。

playしていても全然ワクワクしないし本当に面白くない。
それでも何とかクリア出来たのは【総play時間の短さ】【個人的にマナミアとユーリスがお気に入りだったから】と言うだけ。

個々の素材自体は決して悪く無いと思うのに、その調理の仕方を悉く間違ってしまっている印象。

色々と詰め込まれた要素もその殆どが既出作品の二番煎じの様に感じられ、しかもその取り入れ方も又とても中途半端な印象(ギャザリングで敵の注意を引き付けても仲間のAIが残念だから上手く立ち回ってくれない→とても仲間と共闘していると言う感じがしない/クエストは有るけどログで確認出来ない/着せ替えは出来るけど種類が少ない/街人を突き飛ばす事は簡単に出来るけど【アサシンクリード】の様に歩きながら人を自動で避けてくれる動作等が無い/ハイドによるステルスアクションは有るが敵の目前で隠れても簡単に見失ってくれる等々)。

自分も先に【ゼノブレイド】をplay、1周目から150時間以上遊び込んだ程思い入れが強い為、どうしても同じ様な立ち位置で宣伝されていた本作と比較してしまうのですが……しかし、じゃあ【ゼノブレイド】より本作を先にplayしていたら本作の評価が変わっていたのか? と問われると、自分はそうでは無いと思います。

【ゼノブレイド】でよりハードルが上がったのは確かだとは思いますが、開発側の自己満足で終わってしまっている作り込みの甘さは、どうにもフォローのしようが無い。

そろそろ『見せ付ける作品』から『魅せる作品』にシフトして欲しいところですが……あれだけの決意があって尚、本作でもこの流れから脱却出来ないとなると、最早【揺らぎ様の無い坂口節】と言う事なのでしょうか。

3年半も掛けてこの出来では、とても次回作に期待しようとは思えません。

プレイ時間:20時間以上30時間未満(クリア済)
Billyさん [2011/04/17 掲載]

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スコアボード

THE LAST STORY [ラストストーリー]評価ランク
中央値
59
難易度
1.74
レビュー数
78






サイト情報

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